Do!「終活」 ~楽しみながら終活しましょう~

人生の終盤に大切な事を、分かりやすく解説します。

遺言の書き方 ~その5~公正証書遺言

公正証書遺言については、民法969条1項から5項で厳格に定められています。

簡単に内容を概観すると、次の通りです。

 

公証役場において、遺言者が遺言の内容を口頭で公証人に伝えます。(この行為を「口授(くじゅ)」と言います。)

次に公証人が、その内容を筆記します。

筆記が済むと今度は、公証人が筆記した遺言を遺言者及び、証人(2名以上)に読み聞かせ、又は閲覧させ、遺言者及び証人が筆記が正確であることを承認し、各自これに署名、押印します。

最後に公証人が、その証書が定められた方式に従って作成された旨を付記して、署名押印して完成となります。

 

 

民法の定めはこのようになっていますが、実務的には前もって公証人と遺言の内容の打ち合わせを済ませ、作成当日に遺言者及び証人の前で読み上げ、承認をするという流れが一般的に行われています。

 

その際に、行政書士などの専門家は、一連の進行のお手伝いをさせて頂くことが可能です。

 

 

公証人や2名以上の証人など、公正証書遺言には、登場人物が多くなります。

加えて手数もかかりますので、どうしてもハードルが高く感じられることと思います。

さてそんな公正証書遺言のメリットとは、どんな所にあるのでしょうか?

 

メリットの1番目として挙げられるのは、<専門家が関与するため形式の不備や文言の不明等の恐れが少ない>と言う点でしょう。

更に<遺言書が公証役場に保管されるため、紛失や改ざんの恐れがない>点も、同じ程度に重要なメリットとして挙げることができます。

他には、<遺言の自書ができない人も作成が可能(自筆遺言証書では「自書」が必須条件)>です。

また<家庭裁判所の検認が不要>であることも、残された遺族にはメリットの一つと言えるでしょう。

 

それでは逆に「デメリットは?」問われると、<費用が発生する>ことや、<手続が面倒>であること、<公証人、証人に内容が知られてしまう>ことなどが挙げられます。

しかしこれらメリットとデメリットとを比較しても、メリットがデメリットを凌駕するものと考えます。

 

最後に1999年の民法改正により、969条の2として、「方式の特則」が定められたことを付け加えておきます。

 

内容を一言で申し上げると、障害者への配慮がなされた方式が採用されるに至った、と言う事です。

 

・口がきけない者に関する通訳人の通訳、あるいは自書を用いることで口授に代える(1項)

 

・遺言者または証人が耳が聞こえない者である場合には、筆記した内容を通訳人の通訳により伝えることで、公証人が読み聞かせることに代えられる(2項)

 

 

 

公正証書遺言は費用や手間が掛りはしますが、後々の信頼感を得ることができる点は、大いに考慮すべきことです。

 

専門家が、公正証書遺言をお勧めする所以がそこにあります。

遺言の書き方 ~その4~自筆証書遺言 作成のポイント

民法には、遺言できる事項の定めがあります。

具体的に挙げると、次の通りです。

 

・未成年後見人または未成年後見監督人の指定(民839・849)

・相続分の指定(民902)

・遺産分割の指定又はその委託と禁止(民908)

・遺産分割の際の担保責任についての定め(民914)

・遺贈(民964)

・遺言執行者の指定またはその委託(民1006)

・遺贈の減殺に関する別段の定め(民1034)

 

以上の事項は遺言でしかできません。

一方、次の事項は遺言によっても可能ですが、遺言に依らず生前に行うことも可能です。

 

・子の認知(民781②)

・相続人の廃除とその取消(民893・894②)

一般財団法人の設立(一般社団法人152②)

特別受益者の持ち戻し免除(民903③)

・祭祀主宰者の指定(民897)

・信託の設定(信託3②)

・保険金受取人の変更(保険77・73)

 

 

逆に上記以外の事項を遺言に残しても、法的効果はありません。

 

しかしこれ以外にどうしても遺言に残しておきたい事、例えば<葬儀の方法>や、<遺言の主旨>、<残る家族へ託す思い>などは、「付言」を活用して書き残すことをお勧めします。(もちろん「付言」には法的効果はありません。)

 

 

その他に細かい表現のことですが、次のような注意があります。

 

・相続人へ財産継承の表現は、「相続させる」とする。(不動産など単独登記が可能)

・相続人以外への財産承継は、「遺贈させる」とする。

・土地に関しては、「所在」と「地番」で指定する。

・建物は「所在」と「家屋番号」で指定する。

 

それと<その他すべての財産の承継人>の指定を、必ず行うようにしてください。

この指定をしておくことにより、万が一、遺言から漏れていた財産が後日発見されたときに、面倒な事態になることを防ぐことができます。

 

他に形式上の注意点として、遺言が複数枚にわたるときは、「契印」を押します。

この際の印鑑は、遺言書に押印した印鑑を使用します。

 

また自筆証書遺言は、相続開始後に遅滞なく家庭裁判所の検認を受ける必要があります。検認とは、遺言書の保存を目的とする行為です。発見時の遺言書の状態(内容)を家庭裁判所が確認し、偽造されたりすることを防ぐために行います。

検認は遺言書の効力の有無などを判断するものではありません。従って、検認後に遺言書の効力が争われることもあり得ます。

しかしながら自筆証書遺言において、検認は重要な段取りとなります。

そのため検認を徹底するために、遺言は封入し、遺言書と同じ印鑑で封印しておきます。加えて、封書もすべて自書し、遺言書と同じ日付を書いておきます。

また封筒に、「開封前に家庭裁判所へ提出すること」など、検認を促す文言を入れておくと尚よいでしょう。

遺言の書き方 ~その3~自筆証書遺言の書き方

自筆証書遺言については、民法968条に定められています。

第1項では形式面の規定(全文、日付、氏名の自書及び、押印)が定められ、第2項には加除訂正に関する規定が定められています。

 

自筆証書遺言は自分一人で作成し、完結させることが可能です。その為公証人等への費用が発生することもなく、経済的と言えば経済的ではあります。

そして一人で作成できるので、遺言の内容やその存在を誰にも秘密にしておけます。

これらのことが、自筆証書遺言のメリットと言えるでしょう。

 

 

一方デメリットとしては、次の事があげられます。

 

せっかく用意した遺言であるにも拘らず、誰にも知らせずひっそりとしまっておくために、発見されない危険があります。

親族一同が集まり、遺産分割協議がすっかり済んだ後に発見され、もう一度遺産分割協議をやり直すことになりかねません。

またあくまで自己管理のため、紛失のリスクも否定しきれません。

遺言が発見されたとしても、形式不備で遺言書そのものが無効になる恐れもあります。

誰のチェックも受けないため、法的な要件を満たしていない場合や、不動産等の指定が不明確で、せっかくの遺言者の遺志が遺産分割に反映されない恐れが生じる可能性があります。

その為に自筆証書遺言の場合であっても、専門家のチェックや支援をお勧めする所以です。

また遺言作成についての証人等が不要なため、偽造や変造の恐れも生じやすく、トラブルにつながり易いとも言えます。

 

自筆証書遺言を選ぶ場合は、このようなメリット・デメリットをきちんと見極めたうえで判断すべきでしょう。

 

加えて自筆証書遺言は、相続開始後に家庭裁判所で「検認」手続を経る必要があります。(民法1004条)

尚「検認」の意味ですが、遺言書の状態を確定しその現状を明確にするものであって、遺言書の実体上の効果を判断するものではないとされています。

 

 

ここからは民法に規定される要件を、一つずつ確認していきましょう。

 

◎「自書」について

筆跡が本人のものであることは言うに及ばず、書いた当時本人に遺言を書く能力が備わっている必要があります。

字を書くことができたか、遺言の内容を弁識する能力があったかなどが問題になります。

字を書くことができないからと言って、<録音(音声データ)>や<録画(動画データ)>による遺言は、法律的に無効であることは言うまでもありません。

 

◎「日付」について

歴上の特定の日を表示するのが基本ですが、客観的に特定できるなら有効です。

例えば、「70歳の誕生日」とか「定年の日」などは客観的に日付を特定できるため有効です。

一方「〇月吉日」の場合は、特定が不可能なので、遺言書自体が無効となります。

 

◎「氏名」について

氏名も遺言者が特定できれば有効で、本名である必要はなく通称・ペンネーム・芸名も可能です。

苗字や名の一方でも、遺言者が特定出来るのなら有効となります。

 

◎「印鑑」について

実印である必要はなく、認印で通用します。

拇印や指印でさえも、認められます。

 

◎「加除訂正」について

他人による改ざんでないことを明確にする意図から、厳格な方式規定がされています。

もし書き直す必要が生じた場合には、できれば全文書き直すことをお勧めします。

 

 

 

自筆証書遺言の概要は、以上の通りになります。

遺言の書き方 ~その2~遺言の種類

改めてここで言うまでもありませんが、遺言とは民法960条の規定にある通り要式行為であり、本人の死後その効力が生じます。

要式行為とは、「民法に定められた通りに作成してください」と言う行為のことです。

 

民法に定められた遺言の方式は、<普通方式>が3種類(民法967条)と、<特別方式>が4種類(民法976~979条)の合計7種類です。

遺言としての効力が認められるためには、この7種類の内のどれかの方式をとることが必要で、付随して開封や訂正、撤回などについても、厳格な規定が設けられています。

 

<普通方式>の中でも、一般的には自筆遺言証書か公正証書遺言が選択されます。

3つ目の方式である秘密証書遺言は、あまり多くは利用されていません。

 

<特別方式>の方は更に、「危急時遺言」と「隔絶地遺言」に分類されます。

「危急時遺言」には「一般危急時遺言」と「難船危急時遺言」があり、「隔絶地遺言」には「伝染病隔離者遺言」と「在船者遺言」があります。

 

 

今回はこの7種類の遺言の中でも、利用頻度の高い<普通方式>の3種類の遺言について、それぞれの概略を見ていきましょう。

 

 

<普通方式>

・「自筆証書遺言」

 

この方式のポイントは何と言っても、「全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければ、その効力を生じない。」(民法968条①)と言う事です。

他の方式と違い、証人は不要です。加えて手軽に作成でき、遺言内容を秘密にできるなどのメリットもあります。

しかしその一方、様式不備で無効になる恐れもあります。遺言の訂正についても厳格に定められ、訂正が必要になってしまったら、書き直すほうが間違いありません。

また遺言の保管は遺言者自身が行うため、死後発見されない恐れがあります。

それと遺言の開封前には、家庭裁判所で<検認>と言う手続きを経る必要があり、相続人にとっては、その分手間がかかるとも言えるでしょう。

 

 

・「公正証書遺言」

 

公証役場において、①遺言者が遺言内容を公証人に口授(くじゅ;口頭で話すこと)した内容を公証人が筆記をし、②それを遺言者及び証人2名に示し、③遺言者及び証人2名が証人・署名・押印し、④最後に公証人が署名・押印するという手続きを踏みます。

作成された遺言の原本は公証役場に保管され、謄本と正本が遺言者に交付されます。

公証役場に保管された遺言は、遺言者の年齢が120歳に達するまで保管され、公正証書遺言の存在の有無は、全国の公証役場で確認することができます。

公証人が作成するため様式不備になる恐れが少なく、また公証役場で原本保管するので紛失の心配もありません。

しかし公証人の手数料等の費用が発生し、内容が公証人と証人に知られてしまうという特徴があります。

 

 

・「秘密証書遺言」

 

遺言者自身が署名・押印して遺言書を封入し、遺言書に押印した印鑑を用いて封印をします。遺言書は自書する必要はなく、(本人が)ワープロで入力したものでも構いません。

これを公証人及び証人2人以上に示し、自分が書いたものであること並びに、筆者の氏名及び住所を申述します。

公証人はその証書の提出日と遺言者の申述を封筒に記載した後、遺言者及び証人とともに署名、押印します。

内容は完全に秘密にできますが、肝心の遺言書が様式不備で無効となる恐れがあります。

 

 

3種類の普通方式の遺言を概観しましたが、この中で私が皆さんに強くお勧めしたいのが「公正証書遺言」です。

遺言の書き方 ~その1~なぜ遺言を書いておいた方が良いのか

最近は様々なメディアや日常の会話の中で、「遺言」の話をよく耳にするようになりました。

「終活」とか「エンディングノート」などと言う言葉も、普通に目にする事が多くなったと思います。

しかしそのような情報に接したときに<重要な事>とは思っても、同時に<自分には関係ない>と考える方が多いのではないでしょうか。

 

「まだまだ元気だから(もっと歳をとったら)」とか、「それほど財産が多くないから」とか、「子供たちは仲良くしているから」など、<今の自分に関係ない>と思える理由はいくらでもあり、現実感が湧いてこないというのが正直なところだと思います。

 

一方で「子供がいない」とか、「前婚の相手との間に子供がいる」とか、「内縁関係のパートナーに財産を残したい」などの事情がある方は、真剣に対策を考えている事とは思います…。

 

しかし特別な事情がない人にとっては、遺言は本当に<関係のない事>なのでしょうか?

注意深く見ていくと、そうとも言い切れない事に気が付きます。

 

 

相続財産の大半が不動産であると言う人は多いと思いますが、その場合はどうでしょう。

 

分筆できるような広い土地でしたら、共有せずに分けることも可能でしょう。

しかしそうでない場合、あるいは家屋などに関しては、どのように分けるのでしょうか?

 

 

財産が少ないから争いの心配はないと考えていても、現実はそうでもありません。

 

家裁の統計(平成24年度)では、遺産分割事件の財産額は1千万円以下が32%、1千万円超~5千万円以下で43パーセントとなっています。

つまり(平成24年度)家裁が取り扱かった遺産分割事件のうち、実に75%が財産額5千万円以下と言う事です。

財産額が5千万円以下ならば、自宅プラス預貯金で直ぐに到達してしまいそうです。

 

 

こうしてみると、決して<他人ごとではない>と言えそうですが、いかがでしょうか?

 

 

子供達が仲良く遊んでいた幼少期のイメージが、親の頭の中にはいつまでも残っている事でしょう。

子供はいくつになっても子供ですし、親もいくつになっても親です。

しかし実際には、子供達もそれぞれに家庭を持ち、自分の子を育て、学費などの負担がかかってくるなど、状況は時の流れと共に変化していきます。

幼い頃のようなシンプルな関係が、いつまでも続いているとは考えられません。

 

 

近頃「争族」と言う言葉が、キーワードのように使われています。

それ迄何事もなく仲良くしていた兄弟姉妹の関係が、遺産分割に直面した途端に、ちょっとしたボタンの掛け違いから争いに発展することは多くあります。

 

 

 

’備えあれば憂いなし’

自分の人生を総括する意味でも、全ての方に遺言と向き合って頂きたいと願います。

葬儀のあれこれ ~その2~死後事務委任契約について

子供や配偶者など自分の死後を託せる親族がいなければ、自分の死後の事に関して、多少なりとも不安を感じるのは当然の事でしょう。

自分の葬儀、埋葬、そのほかの死後の後始末は、成年後見人や遺言執行者では対応ができません。

成年後見は、被後見人が死亡すれば終了します。また遺言執行者は、遺言の内容を実現することだけしかできません。仮に後見制度を利用していて後見人がついたとしても、または遺言を作成して遺言執行者を指名してあったとしても、それだけでは足りないのです。

つまり自分の死後の様々な面倒を見てもらうためには、死後事務の内容や費用をあらかじめ決めておき、安心できる人と委任契約を結んでおく必要があるのです。

 

もちろん配偶者・子供・親族がいれば、その方々が請け負うのが一般的でしょう。しかし、仮にそのような親族がいない場合には、「死後事務委任契約」を結んでおけば安心です。

 

さてそれでは「死後事務委任契約」には、どのような内容を定めることが可能なのでしょうか?

一つづつ、具体的にみて行きましょう。

 

 

 ・行政官庁等への諸届の事務

(役所への死亡届の提出、戸籍関係手続き、健康保険や年金の資格抹消申請など)

 

 ・医療費、入院費等の清算手続きに関する事務

 

 ・老人ホーム等の施設利用料等の支払い及び入居一時金等の受領に関する事務

 

 ・委任者の死後の葬儀、埋葬そして永代供養に関する事務

 (通夜、告別式、火葬、納骨、埋葬に関する事務、菩提寺の選定、墓石建立に関する事務。)

 

・親族及び関係者への連絡

 

・賃貸借物件の明け渡し、敷金もしくは入居一時金などの受領

 

・生活用品・家財道具等の遺品の整理・処分に関する事務

 

・公共サービス等の名義変更・解約・清算手続きに関する事務

 

・相続財産管理人の選任申立手続に関する事務

 

・インターネット上のホームページ、ブログ、SNS等への死亡の告知、または閉鎖、解約や退会処理に関する事務

 

保有するパソコンの内部情報の消去事務

 

 

このように、委任できる事務は多岐にわたります。

当然のことですが、死後事務委任が始まるのは、委任者の死後になります。そのため契約書を作るときには、なるべく広範囲な委任事項を盛り込み、死後に不都合が起こらないようにしておくことが重要です。

 

契約は個人同士の覚書でも構いませんが、公正証書で行うことを強くお勧めします。

委任者の死亡後に開始される事務のため、きちんとした形で残すことが安心を確実にします。

 

また配偶者や子供など後を託せる親族がいる場合は、エンディングノートを活用して、これらの事を書いておくと良いでしょう。

もちろん普段からの話し合いが大事ですが、記録があれば本人の意思が確実に確認できますし、記憶だけに頼った場合の覚え違いなども防止できます。また意見の対立など親族間の争いも、きちんと文書に残すことにより、防ぐことができる可能性がぐんと高まります。

葬儀のあれこれ ~その1~葬儀の事前準備

葬儀を迎えたとき、家族は悲しみとともに、多くの困難をも感じるものではないでしょうか?

 

親しい人の死に接し気が動転している中で、葬儀に関して次々と決めなくてはならない事が出てきます。家族にとっては、「悲しみに浸っている暇もない」というのが実感だと思います。

残された家族をその困惑から守るためにも、葬儀に関することは、なるべく事前に決めておくことをお勧めします。

 

 

さて葬儀のスタイルですが、現在では多様な考え方があります。

都市部を中心に、「家族葬」を行う人が増加しています。近所付き合いの変化や高齢化が、その背景にあると思われます。

家族葬」よりも簡略化された、火葬のみで最もシンプルな「直葬」なども増えてきています。

一方、葬儀場を借り多くの参列者を集める従来通りの葬儀も、まだまだ普通に行われています。

 

このように葬儀のスタイルが多様化している現状では、本人の希望をきちんと示しておくことがより重要であり、それが残された家族の迷いを無くすことに通じます。

家族の負担を気にするがため、本人としてはなるべくシンプルで低予算の葬儀を考えがちかもしれません。しかし葬儀の後も遺族は、親戚や故人の知人とのお付き合いをしていななければなりません。

身内だけで葬儀を済ませたため、その後ご近所や知人の弔問を受け、かえって忙しい思いをする事があります。

遺族の負担を考えシンプルな葬儀にしたにも拘わらず、むしろ遺族の負担が増してしまったという話を聞きます。

その辺りの事情も広く考慮し、遺族とも相談を重ねながら、希望をまとめていくのが良いでしょう。

 

葬儀のスタイルが決まったら、実際に何社か葬儀社をあたり、見積を出してもらいます。ここぞという葬儀社が決まれば、前もって契約をしておくのも一つの手です。

そして、ここぞと言う葬儀社については、必ず遺族に話しておきましょう。

話しをしておかなければ、いざその時にせっかくの準備が水の泡になりかねません。

 

遺影についても、事前に準備しておいたほうが良いでしょう。事前の準備がなければ、葬儀の直前の慌ただしさの中で、余裕のないまま選ばざるを得ません。自分の気に入っている写真を用意して、遺影に使うよう家族に示しておきましょう。

 

また葬儀を知らせて欲しい人のリストや、逆に知らせて欲しくない人のリストを、用意しておきましょう。故人の付き合いの範囲は、本人にしかわかりません。リストを用意しておくことで、遺族の負担がどれほど軽減されるかは、想像に難くないはずです。

 

その他にも、棺に入れて欲しいものなどがあれば、きちんと伝えておきます。

 

 

以上申し上げてきたことは家族に話しておく事が重要なのは勿論ですが、エンディングノートに書いておくことでより確実になります。

言葉で伝えた事は、後々忘れたり記憶違いを生じたりしかねません。伝えられた事の信ぴょう性をめぐって、親族間で争いになる可能性もあります。

逆に本人の言葉で残せば、故人の気持ちに直接触れることができ、納得性が高まります。

エンディングノートの威力が、最大限に発揮できる場面の一つです。

通常遺言には書かない事柄だけれども、文書で残しておく必要を感じる事についてこそ、エンディングノートを活用してください。

 

 

最後に葬儀費用についてですが、預貯金口座の凍結を見込んで別途用意しておけば、葬儀の準備としては万全です。