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成年後見制度 ~その1~法定後見の3つの類型

後見制度には、「未成年後見」と「成年後見」の2種類があります。

 

「未成年後見」とは、親権を行う者がいない場合、若しくは親権を行う者が管理権を有しない場合に、その未成年者の法定代理を行う制度の事です。

 

一方「成年後見」とは、「ある人の判断能力が精神上の障害により不十分な場合(認知症高齢者、知的障害者精神障害者)に、その人を法律的に保護し、支えるための制度です。

成年後見の定義について、東京家庭裁判所立川支部成年後見申立の手引」より)

 

成年後見」に関しては、更に「法定後見(法律による後見)」と「任意後見(契約により後見)」の2つに分類されます。

そして「法定後見」は、「後見」、「補佐」、「補助」の3つの類型に分かれます。

 

今回は、この「法定後見」の3類型について取り上げます。

 

 

 

さて「後見」、「補佐」、「補助」とは、具体的にはそれぞれどんな内容なのでしょうか?

 

精神上の障害による判断能力が不十分な程度に従って、当てはまる類型を判断します。

「後見」の場合は、「事理を弁識する<能力を欠く状況>」にある者。

「補佐」の場合は、「事理を弁識する<能力が著しく不十分>な状態」にある者。

「補助」の場合は、「事理を弁識する<能力が不十分>な状態」にある者。

と分類されます。

 

成年被後見人(後見を受ける人)及び、被保佐人(補佐を受ける人)には、法的に様々な資格制限や地位の制限を受けます。

例えば、国家(地方)公務員、医師、薬剤師、建築士、弁護士、司法書士行政書士、税理士、公認会計士、校長や教員、株式会社の取締役など、180を超える資格制限があります。

この資格制限の規定が、成年後見制度の利用をためらう要因にもなっています。

(補助や任意後見には、このような資格の制限はありません。)

 

昨今、この資格制限(=「欠格条項」)を廃止するための論議がなされていました。

政府は2018年3月13日に成年後見制度の欠格条項廃止の関連法案を閣議決定し、法案を2019年の通常国会に提出して、2019年5月に可決されました。

 

今後の動向が、注目されるところです。

 

 

次に後見人の報酬について、確認していきましょう。

 

家庭裁判所に申立を行い、所定の手続きを経て、後見の審判が下りると後見開始となります。

申立ができるのは、「本人、配偶者、4親等内の親族、成年後見人等、任意後見人、成年後見監督人等、市町村長、検察官」です。

そして後見人には、「親族、専門職(弁護士・司法書士社会福祉士行政書士等)、一般の市民(市民後見人)、法人」が就任します。

 

申立の際に後見人の希望は出せますが、必ずしも希望通りになるわけではありません。

被後見人等の財産が多い場合は、専門職が選ばれる傾向があるようです。

また希望が通らなかったからと言って、申立を取り下げることはできません。

成年後見申立ては、一方通行なのです。

 

後見人等の報酬は、本人の財産の額を勘案して、裁判所の審判で決定されます。

目安としては、専門職の後見人等がつく場合の報酬は2~4万円/1カ月程度で、後見監督人等がつく場合の後見監督人の報酬は、後見人の半額程度となります。

後見人に対して、年間24万円~48万円の報酬の支払いが発生する計算です。

例えば後見が10年続けば、総額で240万円~480万円程度の支出になります。

 

 

それでは後見は、どんな原因で終了するのでしょうか?

 

終了原因は「本人の死亡」、「成年後見人等の辞任」「本人の事理弁識能力の回復」、「任意後見の開始」となっています。

成年後見人の辞任」については、病気などやむを得ない事情がある場合に、家庭裁判所の許可を得て辞任をする事ができると定められています。

 

なお不正等で、家庭裁判所より成年後見人等を解任される事例がありますが、解任を受けた者は、以後二度と成年後見人に選任されることはありません。