Do!「終活」 ~楽しみながら終活しましょう~

人生の終盤に大切な事を、分かりやすく解説します。

墓について ~その2~改葬とは

前回のお話の中で遠方のお墓についての心配を書きましたが、現実にその問題に直面している場合には、どのような解決策があるのでしょう?

 

 

皆さんは、「改葬」という言葉を、耳にしたことはないでしょうか?

 

今回のテーマである「改葬」とは、平たく言えば<お墓の引っ越し>の事です。

ご自身の出身地にあるお墓であれば、現地で生活する兄弟姉妹や親せきがお世話をしていることもあるでしょう。しかし親の出身地にある墓であるとか、もっと前の先祖の墓などの場合、墓の近隣には親類縁者がいないこともあるでしょう。

 

何代前のご先祖であっても無縁仏に近い状態で放置しておくのは、どうにも心が晴れません。

このような場合に、自分の住まいの近くへお墓の引っ越しをするという選択肢があります。

それが、「改葬」手続きです。

 

実際の改葬の流れとしては、<元々の墓地(改葬前)>と<新しい墓地(改葬後)>とに対して、それぞれ対応が必要になります。

 

初めに移転先の墓地探しから始めるのは、言うまでもありません。

改葬にあたっては、新旧両方の墓地の市区町村役場の許可が必要となります。許可申請に際しては、まず移転先の墓地管理者から「受入証明書」を発行してもらいます。次に元の墓地の所在地の役場から「改葬許可申請書」を取り寄せ、そこに元の墓地の管理者(菩提寺)から承諾の印鑑をもらいます。そして「改葬許可申請書」と「受入証明書」を役場に提出して、「改葬許可証」の発行を受けます。

遺骨の取り出しの時には、閉眼供養や抜魂式を行い、遺骨を新しい墓地へと移します。遺骨を取り出した後の墓地は、更地に戻します。

 

元の菩提寺に「離檀料」を払うという話は、たまに耳にします。「離檀料」は宗派によって金額に差があり、菩提寺とのトラブルを招きやすいため、円満な対応を心がけるように注意します。

また改葬が必要である事情などを、事前に菩提寺に誠意をもって説明を行う配慮も大変重要な事です。

 

最終段階として、移転先の墓地へ改葬許可証を提出して、具体的な納骨の日時を相談します。納骨の時には、開眼供養を行います。

 

 

費用ですが、元のお墓の撤去、新しい墓の墓石及び施工費、遺骨の取り出しや納骨の際のお布施などがかかり、一般に合計で200~300万円と言われています。

かなりの費用がかかるものと、予定しておく必要がありそうです。

 

また改葬にあたって、親類縁者から思わぬ異論がでて困ることがあります。

菩提寺への配慮同様、親類縁者に対する事前の説明や根回しも、後々の遺恨を防ぐための大事なポイントとなります。