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遺言の書き方 ~その2~遺言の種類

改めてここで言うまでもありませんが、遺言とは民法960条の規定にある通り要式行為であり、本人の死後その効力が生じます。

要式行為とは、「民法に定められた通りに作成してください」と言う行為のことです。

 

民法に定められた遺言の方式は、<普通方式>が3種類(民法967条)と、<特別方式>が4種類(民法976~979条)の合計7種類です。

遺言としての効力が認められるためには、この7種類の内のどれかの方式をとることが必要で、付随して開封や訂正、撤回などについても、厳格な規定が設けられています。

 

<普通方式>の中でも、一般的には自筆遺言証書か公正証書遺言が選択されます。

3つ目の方式である秘密証書遺言は、あまり多くは利用されていません。

 

<特別方式>の方は更に、「危急時遺言」と「隔絶地遺言」に分類されます。

「危急時遺言」には「一般危急時遺言」と「難船危急時遺言」があり、「隔絶地遺言」には「伝染病隔離者遺言」と「在船者遺言」があります。

 

 

今回はこの7種類の遺言の中でも、利用頻度の高い<普通方式>の3種類の遺言について、それぞれの概略を見ていきましょう。

 

 

<普通方式>

・「自筆証書遺言」

 

この方式のポイントは何と言っても、「全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければ、その効力を生じない。」(民法968条①)と言う事です。

他の方式と違い、証人は不要です。加えて手軽に作成でき、遺言内容を秘密にできるなどのメリットもあります。

しかしその一方、様式不備で無効になる恐れもあります。遺言の訂正についても厳格に定められ、訂正が必要になってしまったら、書き直すほうが間違いありません。

また遺言の保管は遺言者自身が行うため、死後発見されない恐れがあります。

それと遺言の開封前には、家庭裁判所で<検認>と言う手続きを経る必要があり、相続人にとっては、その分手間がかかるとも言えるでしょう。

 

 

・「公正証書遺言」

 

公証役場において、①遺言者が遺言内容を公証人に口授(くじゅ;口頭で話すこと)した内容を公証人が筆記をし、②それを遺言者及び証人2名に示し、③遺言者及び証人2名が証人・署名・押印し、④最後に公証人が署名・押印するという手続きを踏みます。

作成された遺言の原本は公証役場に保管され、謄本と正本が遺言者に交付されます。

公証役場に保管された遺言は、遺言者の年齢が120歳に達するまで保管され、公正証書遺言の存在の有無は、全国の公証役場で確認することができます。

公証人が作成するため様式不備になる恐れが少なく、また公証役場で原本保管するので紛失の心配もありません。

しかし公証人の手数料等の費用が発生し、内容が公証人と証人に知られてしまうという特徴があります。

 

 

・「秘密証書遺言」

 

遺言者自身が署名・押印して遺言書を封入し、遺言書に押印した印鑑を用いて封印をします。遺言書は自書する必要はなく、(本人が)ワープロで入力したものでも構いません。

これを公証人及び証人2人以上に示し、自分が書いたものであること並びに、筆者の氏名及び住所を申述します。

公証人はその証書の提出日と遺言者の申述を封筒に記載した後、遺言者及び証人とともに署名、押印します。

内容は完全に秘密にできますが、肝心の遺言書が様式不備で無効となる恐れがあります。

 

 

3種類の普通方式の遺言を概観しましたが、この中で私が皆さんに強くお勧めしたいのが「公正証書遺言」です。