相続税対策のあれこれ
直近のデータによると、相続税の申告者は全国で8%ほどです。
多くの方にとって、相続税は関係のない話ではあります。
しかし知識として知っておくことは、無駄ではありません。
今回は相続税対策の基本について、簡単にご説明いたします。
相続税対策へ話を進める前に、「<争続>対策をぬかりなく」と申し上げておきます。
そのためには、遺言の作成を強力にお勧め致します。
遺言を作成し、ご自身の意思を残しておくことは、後々の争いの回避に大いに役立ちます。
また遺言を書く際には、付言事項を活用して、遺産分割の考え方や相続人に伝えたい思いなどを記しておくとも、大変重要です。
その他にも、生前に遺産の分割をしやすく分ける工夫をしておいたり、遺産の現金化を行っておくと、相続人の負担が軽減されます。
また金融機関の口座を多数お持ちの場合は、口座を集約しておくことも重要です。
さて相続税対策について、基本のスタートラインは次通りです。
①事前に相続税の対策を考える
(税の計算方法が決まっているため、相続が開始してからでは対策が間に合いません。)
②現金の準備
(税の支払いは原則現金です。不動産の売り急ぎは買い叩かれを生みます。)
③生命保険をうまく活用する
(生命保険の非課税分は、相続財産の基礎控除とは別計算です。②の対策にもなります。)
そして基礎控除の額ですが、次の通りです。
3,000万円+600万円×法定相続人の数 (平成27年1月1日より)
<生命保険の非課税分>
500万円×法定相続人の数
※養子縁組 <基礎控除・生保 共通>
「実子あり」=1人までカウント 「実子なし」=2人までカウント
次に具体的な対策を、順にご説明いたします。
- 相続人を増やす(養子縁組)
- 小規模宅地の評価減
<条件>被相続人が住んでいた宅地を、同居している親族が相続し住居として使う。
<対象>330㎡までの宅地面積について評価額の80%を減額(事業用宅地は別基準)
- 土地・建物の評価を下げる
・更地→アパート、借家を建てる
・建物→借す
- 生前贈与を利用する
a.相続時精算課税制度
・1/1現在で60歳以上→20歳以上の子、孫。
・2,500万円まで非課税(超える部分は一律20%課税=財産が多い場合に有利)
・相続時に非課税分(2,500万円までの部分)に相続税が発生=税の先延べ
・(不動産の場合)価格変動のリスクあり(精算は贈与時の評価)
・収益不動産の場合に家賃が相続にならないメリットがある
b.暦年課税
・年間110万円までは無税
・超えた場合の「超えた部分」
<特定贈与財産>=直系尊属からの贈与
<一般贈与財産>=それ以外からの贈与
※税額が異なる(300万円超~4,500万円以下の範囲は特定の税率が5~10%低い)
◎aとbの併用は不可
c.居住用不動産の配偶者控除(おしどり贈与)
<3条件>
・婚姻期間が20年以上
・居住用不動産を贈与、購入するための贈与
・贈与を受けた翌年の3月15日までに居住する
⇒基礎控除110万円+2,000万円=2,110万円まで無税
・「3年以内の生前贈与加算」の対象外
主だった対策を、ざっと見渡しました。
ピンとくるものが、見つかりましたか?
どの策を採るにしても、一番重要なのは早目の行動開始です!