終活の準備 ~その2~
「終活」を進めるうえで有用なパートナーとなるのが、エンディングノートです。
さてそれでは、いったい何をどのように、ノートに書けば良いのでしょう?
エンディングノートには、法的な効力はありません。そのため形式にとらわれることなく、ご自身の肉声に一番近い内容を、自由に残すことができると言うメリットがあります。
つまり自分で直接頼めなくなったときに、あなたに代わって残された家族に語り掛ける、とても重要なツールと言えます。
何を書いても自由ですが、次のような内容は、一通りチェックしておくと良いでしょう。
- 半生を振り返り自分史をまとめる
大切な思い出を時系列に辿って、自分史をまとめることも楽しい作業となるでしょう。また配偶者・子供・友人など人ごとに、思い出や感謝の言葉をつづっても良いでしょう。
そして文章だけでなく、思い出の写真や絵など、目で見て感慨深いものに仕上げるのも楽しい演出の一つです。
- 現在の状態について
・健康状態(病歴・持病やかかりつけの病院、服用中の薬など)
・趣味嗜好(好物や嫌いなもの、趣味など)
・交友関係(親しい人や所属しているサークルなど)
自分しか知らないことが、多くあるはずです。これらを整理しておきましょう。
- 将来の不安や困りごと
将来の不安に関しては、置かれた環境によって、人それぞれに大きく違うところだと思います。
1人暮らし、夫婦2人暮らし、子供たちと同居など、世帯構成によっても違ってきますし、親類・子供など近しい関係の人が近所に居住してるかどうかによっても、各人の感じる不安のは人それぞれと思われます。
財産や身の回りの世話などについて、自分の状況に沿って課題を洗い出しておくことは、高齢や病気になった時の備えとして非常に有効です。
ペットを飼っている人は、もし飼うことができなくなった時の対応も考えておくと安心です。
- パソコンや携帯のデータ
SNSのアカウントや写真、メール、アドレスなどの個人情報の扱いをどうするか?
デジタル社会の恩恵に浴していればいる程、細かい対応が必要になります。
またその前提として、使用しているパソコンや携帯などの電子機器のパスワードが分からないと、電子機器を立ち上げることができませんのでご注意ください。
判断がしっかりしている間に、最低限の選別を行い、削除したいデータやアカウントは、自分で削除しておくことをお勧めします。
有料サイトの契約なども記録に残しておかないと、解約ができず永遠に料金が請求されることにもなりかねません。
またネット銀行やネット証券を利用する方も多いと思いますが、こちらの対策も忘れてはなりません。
- 日記や写真、コレクションなど
日記や写真も処置を指示残しておかないと、万が一の時に、残された家族に判断をゆだねるのは酷な事です。
同様にコレクションも、家族にとっては判断をするのが難しいでしょう。
- 最後の瞬間について
延命治療についての考え方、もしもの時に知らせて欲しい人のリスト、葬儀の形式などに希望があれば、必ず書き留めておきましょう。
特に延命治療に関しては希望を残していなかった場合、家族は様々な思いの中で判断せざるを得ません。その心中は、はかり知れないものがあるでしょう。
ざっとこのような事項を意識して、まとめればよいと思います。
ただ人により不要な項目もあると思いますので、ノートを用意したら書きやすい部分から、ゆったりとした気持ちで、楽しみながら書き進めれば大丈夫です。
エンディングノートの種類については、市販のノートや、いろいろな団体で配布しているものなど、選ぶのに困るほど各種あります。
目に付いたものを手に取り、パラパラとめくってみて、自分に合いそうなものを見つけてください。
そしてエンディングノートを書いたことと、保管している場所を、信頼できる人物に必ず伝えておきましょう。
準備万端に整えても、せっかくのノートがタイムリーに発見されなければ、何の役にも立たちません。
さて以上で総論を終了して、次回からは項目別に解説していきます。