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遺言の書き方 ~その3~自筆証書遺言の書き方

自筆証書遺言については、民法968条に定められています。

第1項では形式面の規定(全文、日付、氏名の自書及び、押印)が定められ、第2項には加除訂正に関する規定が定められています。

 

自筆証書遺言は自分一人で作成し、完結させることが可能です。その為公証人等への費用が発生することもなく、経済的と言えば経済的ではあります。

そして一人で作成できるので、遺言の内容やその存在を誰にも秘密にしておけます。

これらのことが、自筆証書遺言のメリットと言えるでしょう。

 

 

一方デメリットとしては、次の事があげられます。

 

せっかく用意した遺言であるにも拘らず、誰にも知らせずひっそりとしまっておくために、発見されない危険があります。

親族一同が集まり、遺産分割協議がすっかり済んだ後に発見され、もう一度遺産分割協議をやり直すことになりかねません。

またあくまで自己管理のため、紛失のリスクも否定しきれません。

遺言が発見されたとしても、形式不備で遺言書そのものが無効になる恐れもあります。

誰のチェックも受けないため、法的な要件を満たしていない場合や、不動産等の指定が不明確で、せっかくの遺言者の遺志が遺産分割に反映されない恐れが生じる可能性があります。

その為に自筆証書遺言の場合であっても、専門家のチェックや支援をお勧めする所以です。

また遺言作成についての証人等が不要なため、偽造や変造の恐れも生じやすく、トラブルにつながり易いとも言えます。

 

自筆証書遺言を選ぶ場合は、このようなメリット・デメリットをきちんと見極めたうえで判断すべきでしょう。

 

加えて自筆証書遺言は、相続開始後に家庭裁判所で「検認」手続を経る必要があります。(民法1004条)

尚「検認」の意味ですが、遺言書の状態を確定しその現状を明確にするものであって、遺言書の実体上の効果を判断するものではないとされています。

 

 

ここからは民法に規定される要件を、一つずつ確認していきましょう。

 

◎「自書」について

筆跡が本人のものであることは言うに及ばず、書いた当時本人に遺言を書く能力が備わっている必要があります。

字を書くことができたか、遺言の内容を弁識する能力があったかなどが問題になります。

字を書くことができないからと言って、<録音(音声データ)>や<録画(動画データ)>による遺言は、法律的に無効であることは言うまでもありません。

 

◎「日付」について

歴上の特定の日を表示するのが基本ですが、客観的に特定できるなら有効です。

例えば、「70歳の誕生日」とか「定年の日」などは客観的に日付を特定できるため有効です。

一方「〇月吉日」の場合は、特定が不可能なので、遺言書自体が無効となります。

 

◎「氏名」について

氏名も遺言者が特定できれば有効で、本名である必要はなく通称・ペンネーム・芸名も可能です。

苗字や名の一方でも、遺言者が特定出来るのなら有効となります。

 

◎「印鑑」について

実印である必要はなく、認印で通用します。

拇印や指印でさえも、認められます。

 

◎「加除訂正」について

他人による改ざんでないことを明確にする意図から、厳格な方式規定がされています。

もし書き直す必要が生じた場合には、できれば全文書き直すことをお勧めします。

 

 

 

自筆証書遺言の概要は、以上の通りになります。