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遺言の書き方 ~その6~自筆証書遺言の方式緩和について

約40年ぶりとなる相続法改正案が、2018年7月に成立したことは、皆さんご存知の事と思います。

今回は改正された内容のうち、自筆証書遺言の方式緩和に関することについて、ここで説明させて頂きます。

 

 

今回の相続法の改正により、「財産目録」につてワープロ・パソコンで作成することが可能になりました。

また不動産登記事項証明書のコピーや預金通帳のコピーを、添付することも可能になりました。(2019年1月13日施行)

 

従前は自筆証書遺言においては、財産目録を自筆で記述する必要がありました。

対象が不動産であれば地番や地籍を、預貯金の場合は銀行名や口座番号などを、正確に書く必要があります。記述が不正確だったり曖昧だったりすると、相続財産の特定が不十分になり、せっかく遺言に書いてあっても、遺言書に基づく相続が実行できなくなる恐れが生じます。

 

財産が多くなければ間違いもチェックできるでしょうが、財産が多い場合は、記述の正確を期すことが煩雑で大変な作業になります。

特に地方などでは、所有不動産の筆数が20筆、30筆と言う方も現実に少なくはないでしょう。また都市部であっても、銀行口座を多数持っている方は、少なからずいらっしゃる事と思います。

しかし今回の改正により方式が緩和され、財産目録をワープロ・パソコンで作成することや、登記事項証明書や通帳のコピーを添付できるようになりました。

そのため財産の明細の多い場合でも、自筆証書遺言を使いやすくなったと言えると思います。

ただしあくまでも、自筆証書遺言の<別紙>としてのみ適用されますので注意してください。

 

また財産目録の全ページ(両面に記載がある場合は両面)に、遺言者の署名と押印が必要です。これを怠ると、せっかくの遺言書が方式不備となり無効になってしまいますので、その点についても十分ご注意ください。

 

 

次に「法務局における自筆証書遺言保管制度」について、ご説明いたします。

こちらは2020年7月10日に施行されました。

 

遺言者が法務局に自筆証書遺言を持参した際には、法務局が遺言書の形式を確認したうえで保管を行います。このため方式不備により遺言書が無効になってしまうような事態を、未然に防ぐことが可能になります。

 

またこれまで自筆証書遺言は、遺言者自らが保管する必要がありましたので、遺言書の紛失や、偽造、破棄、隠匿などの恐れがありました。しかし法務局に自筆証書遺言を保管することで、このような事態を防ぐこともできます。

 

そして相続人、受遺者、遺言執行者が、法務局に被相続人の自筆証書遺言の存在を問い合わせることにより、遺言の存在を見落とす危険を防ぐことも可能になります。

 

これらに加えて、この保管制度を利用して自筆証書遺言を執行する場合には、通常自筆証書遺言の場合に必要となる、家庭裁判所の「検認手続」が不要となります。

検認手続を省けるため、遺言内容の実行までの時間が短縮されることにつながります。

 

 

以前と比べて使い勝手が増し、今後は自筆証書遺言証書を選択する人が増えるかもしれません。